PCPエアライフルを二重装填してしまったら?原因と対処法
ダブルロード・多重装填を悪化させないために、まず止めて確認する
PCPエアライフルで起こりやすい二重装填(ダブルロード・多重装填)の原因と対処法を解説します。ペレットプローブの役割、マガジンを外す判断、三重・四重装填を防ぐ考え方、デコッキング、エアブリードホール、銃砲店へ相談する目安まで整理します。
PCPエアライフルの二重装填とは
PCPエアライフルで比較的起こりやすいトラブルのひとつが、二重装填(ダブルロード)です。複数の弾を続けて入れてしまった状態を、多重装填と表現することもあります。
二重装填とは、すでにバレル内に1発の弾が入っている状態で、さらに次の弾を送り込んでしまうことです。
特に起こりやすいのが、コッキングレバーやボルトを途中まで引いて戻してしまったあとです。
そして、二重装填そのもの以上に注意したいのが、異常に気づいて慌てて何度もコッキングし直してしまうことです。
最初は単純な二重装填だったものが、操作を繰り返すことで三重、四重装填や複雑なジャムに悪化することがあります。
まず「ペレットプローブ」とは何か
PCPエアライフルのマガジン式モデルには、マガジンに入っているペレットやスラッグをバレルへ押し込む部品があります。この記事では、この部品を「ペレットプローブ」と呼びます。
海外では pellet probe や loading probe と呼ばれることが多い部品です。
ペレットプローブには、空気が通る中空の筒状タイプのほか、スラッグなどで使われることの多い細い pin probe(ピンプローブ)タイプなどがあります。
なお、PCPへ高圧空気を充填するときに銃へ差し込むフィルプローブ(fill probe/充填プローブ)とは、名前は似ていますがまったく別の部品です。
コッキングレバーやボルトを前へ戻すと、ペレットプローブがマガジン内の弾を押し、バレルへ送り込みます。
逆にレバーやボルトを後ろへ引くと、ペレットプローブがマガジンから抜け、そのことでマガジンが次の弾の位置まで回転できるようになります。
二重装填を理解するうえでは、このペレットプローブの動きを知っておくことが重要です。
二重装填はなぜ起こる?
多くのPCPエアライフルでは、コッキングレバーやボルトを引くと、まずペレットプローブが後退してマガジンから抜けます。
するとマガジンが1発分回転し、次のペレットが装填位置へ移動します。
そのあと、さらにレバーやボルトを最後まで引くことでハンマーが後退し、ハンマースプリングが圧縮されてコッキングが完了します。
つまり、マガジンが回転するタイミングと、ハンマーがコックされるタイミングは同じではありません。
そのため、レバーやボルトを途中まで引いたところで戻してしまうと、マガジンはすでに回転しているのに、ハンマーはコックされていない状態になることがあります。
そのままレバーやボルトを戻すと、ペレットプローブが次のペレットをバレルへ押し込みます。
この場合、弾はバレルに入っていますが、ハンマーがコックされていないため、トリガーを引いても通常は発射しません。
「コッキングできていなかった?」と思ったら、まずマガジンを外す
ここが一番重要です。
コッキング操作のあとに発射できず、「あれ? コッキングできていなかったのかな?」と思っても、そのまますぐもう一度コッキングしてはいけません。
この時点ですでに、弾だけがバレルへ送り込まれている可能性があるからです。
可能であれば、まずその時点でマガジンを外します。
マガジンを外してしまえば、そのあと状態を確認するためにレバーやボルトを操作しても、次の弾が追加で送り込まれることを防げます。
- 異常を感じたら操作を止める
- 可能ならマガジンを外す
- そのうえで状態を確認する
一番危ないのは、慌てて何度もコッキングし直すこと
二重装填を疑ったときに最も避けたいのが、マガジンを入れたままレバーやボルトを何度も動かすことです。
「撃てないから、もう一度コッキングしてみよう」と操作すると、すでにバレル内に1発入っているところへ、次の弾を送り込んでしまうことがあります。
さらに「まだおかしい」と操作を繰り返せば、3発目、4発目まで送り込んでしまう可能性があります。
最初は単純な二重装填だったものが、ペレット、マガジン、ペレットプローブが複雑に噛み込んだジャムへ悪化することもあります。
おかしいと思ったら、まず止める。もう一度コッキングする前に、可能ならマガジンを外す。これを一番に覚えておいてください。
マガジンが抜けない場合
二重装填すると、ペレットがマガジンとバレルの間に噛み込み、マガジンが抜けなくなることがあります。
このとき、レバーやボルトを前へ戻そうとすると、通常より強い抵抗を感じる場合があります。
ペレットは鉛でできていて比較的柔らかいため、状態によってはある程度押し込むことでペレットが変形し、マガジンを外せるようになる場合もあります。
ただし、ここで注意したいのがペレットプローブです。
特に細いピンプローブタイプでは、強い抵抗がある状態で無理に力を掛けると曲がってしまうことがあります。
ペレットプローブが曲がると、弾をバレルへ送り込む位置や向きに影響し、射撃精度に大きく影響する可能性があります。
また、マガジンや機関部のポートを傷つける可能性もあります。
多少の抵抗なら動かせる場合もありますが、明らかに普段とは違う強い抵抗がある状態で力任せに操作するのは避けます。
コッキングされているかどうかも重要
二重装填したときは、ハンマーがコックされている状態なのかどうかも重要です。
中途半端なコッキングによって弾だけがバレルへ入った場合、ハンマーがコックされていなければ、トリガーを引いても通常は発射しません。
発射可能な状態と比べれば危険性は低くなりますが、バレル内には弾があり、銃本体には高圧空気も残っています。
正常な状態ではありません。
「トリガーを引いても出なかったから安全」と考えてそのまま扱わず、銃口を安全な方向へ向けたまま慎重に対処します。
二重装填でも発射できる場合はある
通常の出力を持つ狩猟用PCPエアライフルで、単純にペレットが2発続けてバレル内へ入っただけであれば、発射によって2発ともバレルから出る場合はあります。
ただし、二重装填した時点では、ペレットがどこで止まっているのか、変形していないか、ペレットプローブやマガジンが噛み込んでいないかなど、状態が分からないことがあります。
そのため、「二重装填したら撃って抜けばいい」という対処法にはしません。
特に、レバーやボルトが戻らない、マガジンが抜けないなど、明らかにジャムしている状態で不用意にトリガーを引くのは避けます。
高圧空気が放出されてもペレットが正常に動けず、Oリングが損傷したり飛び出したりするなど、別のトラブルにつながる場合があります。
コッキングされている場合はデコッキングする
一般的な手動コッキング式のPCPエアライフルでは、発射せずにハンマーのコッキングを解除するデコッキング操作が可能なものが多くあります。
二重装填した状態でハンマーがコックされている場合、可能であればデコッキングして、発射可能な状態を解除しておきます。
ただし、デコッキングの方法はモデルによって異なります。また、二重装填やジャムによってレバーやボルトが正常に動かない場合は、通常のデコッキング操作そのものができないこともあります。
そのため、普段その銃で行っている正しいデコッキング方法を使い、無理に操作できない場合はそこで止めます。
エアブリードホールがあるモデルなら圧力を抜く
PCPエアライフルの中には、エアブリードホールを備えているモデルがあります。
その場合は、メーカーが指定する方法でエアブリードホールから空気を抜き、銃に残っている圧力を抜くことができます。
二重装填やジャムが起きた状態では、銃の中に高圧空気が残っています。
可能であれば圧力を抜いておくことで、より安全な状態にできます。
ただし、エアブリードホールの位置や操作方法はモデルによって異なります。
方法が分からない状態で適当なネジや部品を緩めるのではなく、取扱説明書やメーカー指定の方法に従ってください。
判断に迷ったら、できるだけ早く銃砲店へ相談する
二重装填は、状態によっては比較的簡単に解消できる場合もあります。
一方で、マガジンが抜けない、レバーやボルトが正常な位置まで動かない、ペレットプローブが途中で止まっている、ハンマーがコックされているか分からない、バレル内に何発入っているか分からない、といった状態では、操作を続けるほど状況を悪化させる可能性があります。
こうした場合は、できるだけ速やかに銃砲店や修理を扱う専門店へ相談してください。
持ち込む場合も、バレル内に弾が残っている可能性があるため、まず銃砲店へ状態を説明し、どのように扱って持ち込めばよいか確認しておくのがいいでしょう。
二重装填を防ぐために
二重装填や多重装填を防ぐうえで特に覚えておきたいのは、次の点です。
- コッキングレバーやボルトは毎回最後まで引き切る
- 中途半端に引いて戻さない
- 撃てなかったからといって、すぐもう一度コッキングしない
- 「おかしい」と思ったらまず操作を止める
- 可能なら最初にマガジンを外す
- マガジンが抜けないときに強い力を掛けすぎない
- ペレットプローブを曲げると精度に影響することを覚えておく
- コッキング後はバレル内に弾が入っているものとして扱う
中でも一番大切なのは、「おかしい」と思ったときに、慌てて何度もコッキングし直さないことです。
最初は1発、2発だったものを、自分の操作で3発、4発と増やしてしまうことがあります。
異常を感じたら、まず止める。そして可能ならマガジンを外す。これが、二重装填トラブルを大きくしないための基本です。