充填・空気圧

PCPエアライフルのデジタル圧力計は必要?アナログとの精度差と使い分け

残圧計はアナログで十分?レギュレーター圧ではデジタルが便利

PCPエアライフルのデジタル圧力計とアナログ圧力計の違いを初心者向けに解説します。25mm前後の小型メーターの精度差、残圧計とレギュレーター圧計の使い分け、電池切れ、1/8 BSPPとM10×1、交換時のエア漏れまで整理します。

デジタル圧力計は必要?

最近のPCPエアライフルでは、デジタル圧力計を採用したモデルが増えてきました。

純正のアナログ圧力計を、後からデジタルメーターへ交換するカスタムも見かけます。

では、「デジタルの方が正確なのか?」「残圧計もデジタルにした方がいいのか?」というと、少し分けて考える必要があります。

小型の圧力計で精度を求めるなら、デジタルには大きなメリットがあります。

ただし、タンクの残圧を見るだけなら、アナログで十分な場合がほとんどです。

一方、自分でレギュレーターを調整する人には、デジタル圧力計のメリットがかなり大きくなります。

アナログとデジタルでは測り方が違う

エアライフルに昔から使われているアナログ圧力計の多くは、ブルドン管式です。

内部にある金属管が圧力によってわずかに変形し、その動きを小さなリンクやギアで針へ伝えています。

一方、デジタル圧力計は圧力センサーで圧力を測り、電気信号を数字として表示します。

この構造の違いが、小型化したときの精度にも影響します。

小型のブルドン管式は精度を出しにくい

PCPエアライフルでは、25mm前後の非常に小さな圧力計がよく使われます。

ブルドン管式では、小さなブルドン管の変形を、小さなリンクやギアを使って正確に針へ伝えなければなりません。

さらに0〜300barほどの広い範囲を、小さな文字盤と短い針で読み取ります。

つまり、小型になるほど「機械そのものを正確に作る難しさ」と「人間が針を正確に読む難しさ」の両方が大きくなります。

これは「小型アナログは使えない」という意味ではありません。残圧を確認する用途には十分ですが、数bar単位を正確に読みたい用途には向きにくい、ということです。

同じ25mm前後でも、デジタルならここまで違う

実際の製品を、ほぼ同じサイズで比較すると分かりやすくなります。

WIKAの小型ブルドン管式圧力計「111.12.027」は直径27mmで、シリンダー充填圧力やスポーツウェポン用途にも使われる製品です。精度等級はClass 4.0で、仮に0〜300barのスケールなら±12bar相当になります。

一方、PCP用のSEKHMET Gen2 255 STDは直径25.5mm。ほぼ同じサイズながら、15〜300barで精度Class 0.25、300bar時の最大誤差は±0.75barとされています。

圧力計直径300bar時の公称精度の目安
WIKA 小型ブルドン管式27mm±12bar相当
SEKHMET デジタル25.5mm±0.75bar

もちろん、すべてのアナログとデジタルがこの差になるわけではありません。

ただ、ほぼ同じ25〜27mmというサイズでも、圧力センサー式のデジタルなら高い精度を確保できる実例があります。

WIKA 111.12.027 仕様 SEKHMET Gen2 255 STD 仕様

それでも残圧計ならアナログで十分

では、タンクの残圧計も全部デジタルにした方がいいのでしょうか。

私は、そこまで必要ないと思います。

残圧計で知りたいのは、「まだ十分に空気がある」「そろそろ充填した方がいい」「いつもより明らかに減っている」といったことです。

200barなのか203barなのかが正確に分かっても、通常の射撃ではほとんど意味がありません。

そのため、メインタンクの残圧確認なら、正常に動いているアナログ圧力計で十分な場合がほとんどです。

アナログには電池切れがない

残圧計では、アナログならではの大きなメリットもあります。

電池が必要ありません。

銃に空気が入っていれば、いつでも針を見るだけで残圧を確認できます。

デジタル圧力計は電子機器なので電源が必要です。充電式や長寿命の製品でも、電池が切れれば残圧を表示できなくなります。

狩猟中や射撃場で「空気は入っているけれど、メーターの電池が切れて圧力が分からない」ということは、アナログでは起こりません。

残圧計として考えると、この単純さは大きな長所です。

デジタルが活きるのはレギュレーター圧

一方、デジタル圧力計を使う意味が大きいのが、レギュレーター圧の確認です。

自分でPCPをセッティングする場合、120bar、123bar、125barといった数barの違いを確認しながら、弾速やハンマースプリングとのバランスを調整することがあります。

こうした用途では、小さなアナログメーターの針を読むより、デジタルで数字を確認できる方が分かりやすくなります。

SEKHMETの25.5mmモデルも、レギュレーターでの使用を想定し、発射後に圧力が設定値へ戻る変化を確認できることを特徴として挙げています。

つまり、残圧を見るならアナログで十分。レギュレーターを細かく調整するならデジタルが便利、という使い分けです。

SEKHMET Gen2 255 STD

純正デジタルなら、そのまま使えばいい

もちろん、最初からメーカーがデジタル圧力計を搭載している銃なら、わざわざアナログへ戻す理由もありません。

ここで言いたいのは、「デジタルの方が新しいから、とりあえず交換する」必要はないということです。

精度が必要な場所ではデジタルを使い、そこまで細かな精度を必要としない残圧計ではアナログの手軽さを活かす。用途で選べばいいと思います。

デジタル圧力計の交換は簡単そうに見えるけれど注意

最近は、PCP用の交換デジタル圧力計も簡単に購入できます。

そのため、「今のメーターを外して、新しいものをねじ込めばいい」ように見えるかもしれません。

しかし、私は圧力計の交換を安易に自分で行うことはおすすめしません。

圧力計の取り付け部分は、単なるメーターの固定部分ではなく、200〜300bar前後の高圧空気を密閉している場所だからです。

そして圧力計周辺は、PCPでエア漏れが発生するポイントのひとつでもあります。

Oリングやシールを傷めればエア漏れする

圧力計を脱着すると、Oリングやシール面も一度触ることになります。

Oリングを噛み込んだり、傷を付けたり、締め付けが強すぎたり弱すぎたりすれば、そこから少しずつ空気が漏れることがあります。

正常だった銃をデジタル化した結果、「交換してからエアが抜けるようになった」となってしまっては意味がありません。

1/8 BSPPとM10を間違えない

さらに注意したいのが、圧力計のネジ規格です。

PCPでは1/8 BSPP(G1/8)がよく使われますが、銃や圧力計によってはM10×1などのメートルネジも存在します。

見た目や外径が近くても、別の規格です。

「少し固いけれど入るから大丈夫」と無理に締め込めば、圧力計側だけでなく、銃本体のネジ山まで傷める可能性があります。

ネジ規格が合っていても、ネジ長、Oリングの位置、シール方法、本体とのクリアランスが違う場合もあります。

PCP用圧力計のネジ規格例

圧力計交換は専門家に任せる方がいい

圧力計交換は外から見ると簡単な作業ですが、実際には高圧空気を密閉している部分を分解して組み直す作業です。

特にPCPの構造やシール方法が分からない場合は、自分で交換しない方がいいでしょう。

デジタル圧力計に変更したい場合は、使用している銃への適合を確認し、販売店やPCPの構造を理解した人に作業を依頼することをおすすめします。

デジタル圧力計は「必要な場所」に使う

デジタル圧力計には、特に小型メーターで高い精度を得やすいというメリットがあります。

しかし、高精度で測れることと、その精度が必要かどうかは別です。

  • タンクの残圧を見るだけなら、アナログで十分な場合が多い
  • アナログは電池切れがなく、いつでも確認できる
  • レギュレーター圧を細かく調整するならデジタルが便利
  • 25mm前後の小型でも、デジタルなら高精度な製品が存在する
  • 圧力計の交換部分はエア漏れの原因になりやすい
  • 1/8 BSPPやM10×1など、ネジ規格を必ず確認する
  • デジタル化だけを目的に、正常な圧力計をむやみに交換しない

残圧計はシンプルなアナログ、セッティングを詰めるレギュレーター圧計はデジタル。

用途に合わせて選ぶのが、PCPエアライフルでは一番合理的だと思います。

圧力計の構造について詳しく知りたい方へ

ブルドン管式圧力計の仕組みや、デジタル圧力計との違いについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

空気銃の圧力計について詳しく知る