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エアライフルの非鉛弾とは?|鉛規制・ペレットの重さ・精度・価格の違い
環境への配慮と、安心して使い続けるための条件
エアライフルで使う弾にも、鉛を使わない「非鉛弾」があります。鳥類の鉛中毒を防ぐ取り組みが進むなか、今後の狩猟を考えるうえで、知っておきたい選択肢です。
ただし、非鉛弾は、これまで使っていた鉛ペレットをそのまま置き換えられるとは限りません。素材が変われば、重量や硬さ、飛び方が変わり、価格にも大きな違いがあります。
非鉛弾を理解するには、環境への配慮とともに、精度・安全性・費用を含めて考えることが大切です。
国の方針と、エアライフルで使う際に知っておきたい違いを整理します。
国は、鉛弾による鳥類の鉛中毒を減らす方針
環境省は、2030年度までに鉛製銃弾に起因する鳥類の鉛中毒をなくすことを目指し、2025年度以降、鉛弾の使用規制を段階的に導入する方針を示しています。
2026年3月の検討会資料でも、モデル地域での規制と効果の確認、全国的な規制の方法、非鉛弾の供給や切り替えに伴う課題などが検討されています。
ここで区別したいのは、国が非鉛化を進める方針であることと、全国で空気銃の鉛ペレットがすでに全面禁止されていることは、同じではないという点です。
実際の規制は、地域や弾の種類、狩猟か許可捕獲かといった条件によって異なります。鉛製散弾を対象とする規制を、そのまま空気銃のペレットにも当てはめることはできません。
自分が活動する地域で、どの弾が対象になるのか。都道府県の案内や、捕獲許可の条件を確認する必要があります。
なお、検討会のヒアリング資料には、空気銃では非鉛弾を問題なく使えているという意見もあります。ただし、これは使用者などから寄せられた意見であり、すべての銃や距離で同じ性能が得られることを保証するものではありません。
錫は、同じ体積なら鉛の約65%の重さ
非鉛ペレットには、錫(すず)や錫合金を使った製品があります。
鉛の密度は約11.3g/cm³、錫は約7.3g/cm³です。同じ体積なら、錫の重さは鉛の約65%になります。約35%軽くなる計算です。
ただし、実際のペレットは、素材を変えるだけでなく、形状や肉厚も調整されています。すべての非鉛ペレットが、鉛製の65%の重さになるわけではありません。
代表的な鉛ペレットと、国内で案内されているJSBの非鉛ペレットを比べると、次のようになります。
| 口径 | 比較する鉛ペレットの重量 | JSB非鉛ペレットの重量 | 鉛製に対する重量比 |
|---|---|---|---|
| 4.5mm | 8.44gr | 6.74gr | 約80% |
| 5.5mm | 18.13gr | 11.75gr | 約65% |
| 6.35mm | 25.39gr | 16.54gr | 約65% |
| 7.62mm | 44.75gr | 32.41gr | 約72% |
※grはグレインという重さの単位です。4.5mmの非鉛弾は、国内輸入元の掲載値を使用しています。
例えば5.5mmでは、18.13grから11.75grになると、かなり軽くなります。一方、15.89grの鉛ペレットと比較すれば約74%です。どの弾から切り替えるかによって、重量差の受け止め方も変わります。
また、素材が変わると、硬さや変形のしやすさも変わります。同じ口径・似た外見であっても、鉛ペレットと同じ性質の弾ではありません。
軽量になる分、初速は上がる傾向にある
鉛ペレットから軽量な非鉛ペレットに替えると、軽量になる分、初速は上がる傾向にあります。
ただし、銃口を出たときに速いことと、遠くまで速度やエネルギーを保てることは別です。
同じ口径で形状も近い場合、軽いペレットは空気抵抗によって減速しやすく、距離が延びるにつれてエネルギーを失いやすくなります。実際の減速の程度には、重量だけでなく、弾の形状も関係します。
遠距離では、残っているエネルギーに加え、風による着弾のずれや、弾の飛び方の安定性も問題になります。初速が高くても、鉛ペレットと同じようなまとまりを保てるとは限りません。
非鉛ペレットを考えるときは、初速の数字だけでなく、距離が延びたときの精度にも目を向ける必要があります。
50mでまとまっても、その先まで使えるとは限らない
近い距離でよくまとまったからといって、そのまま遠距離でも使えるとは限りません。50mで十分な精度が出た場合でも、それより先で鉛ペレットと同じ結果を期待できるとは限らないのです。
メーカーが示している距離も、参考になります。
例えば、H&NのBaracuda Greenは、5.5mm・6.35mmとも、公式の製品情報で「Max. distance:30m」と案内されています。
| 製品 | メーカーが示す距離の目安 |
|---|---|
| Baracuda Green 5.5mm(.22) | 30m |
| Baracuda Green 6.35mm(.25) | 30m |
これは製品ごとの案内であり、非鉛弾全体の限界ではありません。また、この距離を超えると弾が届かなくなる、という意味でもありません。
一方で、非鉛ペレットを鉛ペレットと同じ感覚で置き換え、従来と同じ距離まで使えると考えるのも適切ではありません。
大切なのは、弾が届く距離ではなく、必要な精度と捕獲に必要なエネルギーを保てる距離です。狩猟で使う場合は、メーカーの案内と実際の射撃結果を踏まえ、使える範囲を慎重に判断する必要があります。
価格は、缶の値段ではなく1発単価で比べる
非鉛ペレットは、鉛ペレットより高価になることも大きな課題です。
比較するときは、1缶の値段だけで判断しないようにしましょう。非鉛ペレットは、1缶に入っている発数が少ない製品もあります。
国内掲載価格の一例を、1発単価に直して比較します。
| 口径 | 種類・製品例 | 1缶の価格・発数 | 1発あたり |
|---|---|---|---|
| 4.5mm | 鉛:FXプレミアム | 4,510円/500発 | 9.02円 |
| 4.5mm | 非鉛:JSB | 6,600円/200発 | 33.00円 |
| 5.5mm | 鉛:JSBジャンボヘビー | 5,500円/500発 | 11.00円 |
| 5.5mm | 非鉛:JSBジャンボ | 6,490円/200発 | 32.45円 |
| 6.35mm | 鉛:JSBキング | 5,610円/350発 | 16.03円 |
| 6.35mm | 非鉛:JSBキング | 6,490円/150発 | 43.27円 |
| 7.62mm | 鉛:JSB 44.75gr | 4,730円/150発 | 31.53円 |
| 7.62mm | 非鉛:JSB 32.41gr | 7,920円/100発 | 79.20円 |
※2026年10月5日確認。国内の輸入元・販売店の税込掲載価格を用いた比較例です。送料は含みません。販売店や時期によって価格は異なります。
この例では、非鉛ペレットの1発単価は、鉛ペレットの約2.5〜3.7倍です。
5.5mmなら、100発撃った場合は1,100円と3,245円。1,000発では、11,000円と32,450円になります。
猟場で使う数発だけなら小さく感じる差でも、射撃練習まで含めると負担は大きくなります。
弾代は、継続して練習できるかどうかにも関わります。非鉛化を進めるうえでは、使える弾を用意するだけでなく、必要な練習を続けられる価格や供給も重要です。
「軽くなるから、大きい口径を選ぶ」で解決しない
非鉛ペレットが軽いと知ると、「それなら、ひとつ大きい口径の銃にすればよいのでは」と考えるかもしれません。
しかし、弾の重量だけで口径を選ぶことには注意が必要です。
例えば、非鉛弾を使うつもりで大きい口径を選んだものの、価格や入手性の問題から、後になって鉛弾を使う場合です。その銃と鉛弾の組み合わせを十分に理解していなければ、用途に対して過剰な出力になっていることを見落とすおそれがあります。
これは今後起こり得る問題として、考えておきたい点です。
もちろん、口径が大きいだけで出力が決まるわけではありません。銃の仕様と、使用する弾の重量・速度によって変わります。
非鉛弾の軽さを補うことだけを目的に、口径や出力を大きくするべきではありません。自分が何を、どのような環境で捕獲するのか。その用途と安全性から考えることが先です。
非鉛スラッグには、別の可能性がある
非鉛弾の可能性は、ペレットだけではありません。ZANなどからは、非鉛のエアスラッグも製品化されています。
スラッグは、メーカーが弾の長さや全体の形状を設計することで、軽い素材でも体積を確保し、重量の減少をある程度補える可能性があります。
ただし、長くすれば解決するわけではありません。マガジンに収まるか、銃や銃身に適合するかなど、別の条件も関わります。
非鉛スラッグが、非鉛ペレットの代わりとして、どの銃でも使えるわけではありません。製品の進歩には期待できますが、精度や適合性は個別に確認する必要があります。
価格と供給の問題も残ります。例えばZANの非鉛.30ペレットでは、原材料価格の上昇を理由に、再入荷を見合わせる案内が出ています。これはスラッグの話ではありませんが、非鉛弾を継続して供給する難しさが表れた例です。
非鉛化には、安心して使い続けられる条件が必要
鳥類の鉛中毒を減らすことは、大切な課題です。その一方で、使う側にとっては、鉛を含まないことだけで弾を選べるわけではありません。
必要な精度が得られること。安全に扱えること。十分な練習を続けられる価格で、安定して入手できること。そうした条件が揃って、実用的な選択肢になります。
非鉛弾の特性を理解しないまま、鉛ペレットと同じ距離で使ったり、軽さを補うために大きい口径へ進んだりすると、別の問題を生むおそれがあります。
非鉛化を考えることは、普段使っている弾の重さや飛び方、必要な精度と出力を見直す機会でもあります。
環境への配慮と、安全で確実な狩猟を両立できるように。規制の動向だけでなく、製品の性能や費用も含めて、理解を深めていきましょう。