獲ったカモ・キジはどう処理する?
冷却・腸抜き・持ち帰りの基本
カモやキジを仕留め、無事に回収できたら、次は食材として持ち帰るための準備です。
ここで大切なのは、獲物そのものを速やかに冷やすことと、泥や血液などの汚れを周囲へ広げないこと。
特に鳥は羽毛に覆われているため、クーラーボックスに入れただけでは、体の内部まで十分に冷えないことがあります。
この記事では、私が実際に行っている方法も交えながら、回収後の冷却、内臓を抜くかの判断、袋や新聞紙を使った持ち帰り方を整理します。
クーラーボックスが冷たくても、鳥の肉まで冷えているとは限らない
鳥の羽毛には、体の熱を逃がしにくくする働きがあります。
生きている鳥にとっては必要な機能ですが、仕留めた後も羽毛が断熱材になるため、外から冷やそうとしても熱が抜けにくくなります。
クーラーボックスの中がひんやりしていても、羽毛に包まれた胴体には熱が残っていることがあります。
そのため、氷や保冷剤を隅に置くだけでなく、獲物を入れた袋越しに、胴体へしっかり当てることを意識しましょう。冷却材との間に、大きな空間や厚い包装を挟まないようにします。
必要に応じて、あらかじめ胸や腹などの羽毛をある程度抜き、冷やしやすくする方法もあります。ただし、羽抜きに時間をかけて冷却を遅らせては本末転倒です。
また、温かい鳥を何羽も重ねて詰め込むと、内側の鳥に冷却材が届きにくくなります。獲物が増えたら、並べ方と氷の量も見直してください。
内臓を傷めていないなら、急冷して自宅で丁寧に処理する
獲った鳥の内臓を、現場ですぐに抜くかどうか。私が判断するときに考えるのは、被弾した場所、冷却できる条件、帰宅までの時間です。
屋外では、清潔な作業台や十分な水を用意できるとは限りません。羽毛や泥に触れながら作業することにもなり、衛生面でできる配慮には限界があります。
そのため私は、ヘッドやネックで仕留め、胴体の内臓を傷めていないと判断できる場合は、現場では内臓を抜かず、急冷を優先しています。そのうえで、自宅の作業環境を整えてから丁寧に処理します。
これは、十分に冷却でき、帰宅後も速やかに処理できることを前提とした私の運用です。頭や首に当たったことだけで、長時間そのままにしてよいと判断するものではありません。
一方、胴体に弾が入り、帰宅まで時間がかかる場合には、損傷の状態を確認し、必要に応じて内臓を取り除いてから急冷します。内臓を取り除いた後は、清潔な食品用袋に入れた氷を体腔に当てるなど、内側からも冷やす方法があります。
ただし、消化管が破れて内容物が肉へ広がっている場合は、内臓を抜いて冷やすだけで安全になるわけではありません。汚染の程度を判断できない場合も、無理に食用にしないことが大切です。
現場でどこまで処理するかは、損傷と作業環境を見て判断する。そして、どちらの場合も冷却を遅らせない。この順番で考えています。
保冷剤と凍らせたペットボトルを併用し、獲物が増えたら氷を追加する
毎回たくさんの氷を購入するのは、手間も費用もかかります。
私の場合は、LOGOSの「氷点下パック」と、500mLのペットボトルを2〜3本凍らせたものを組み合わせて、クーラーボックスに入れています。
この保冷剤と凍らせたペットボトルの併用を基本に、猟果に恵まれ、冷やす鳥が増えたときは、コンビニでロックアイスを追加しています。
ただし、この組み合わせなら、いつでも十分という基準ではありません。
必要な量は、獲物の数や大きさ、外気温、帰宅までの時間、クーラーボックスの性能によって変わります。
同じ猟期でも、季節の進み方や地域によって気温は異なります。クーラーボックスは外気の影響を抑えますが、その影響をなくせるわけではありません。獲物を速やかに冷やし、低温を保つために必要な氷や保冷剤の量も変わるため、その日の現地の気温に合わせて準備しましょう。
暖かい日には保冷剤や氷を多めに用意する、途中で氷を追加できる場所を確認しておくなど、冷却を続けられるように備えます。出発時に入れた冷却材だけで足りると決めつけないことが大切です。
また、保冷剤や凍らせたボトルの表面も、使用後は洗って清潔に保ちましょう。獲物の冷却に使うものは、飲用のボトルと分けておくと管理しやすくなります。
泥の付いた足を処理し、1羽ずつ袋に入れる
鳥の足には、土や泥が付着しています。足を付けたまま収納すると、羽毛やほかの鳥へ汚れが移り、爪や蹴爪で袋を傷めることもあります。
そのため私は、現場で足を切り落としてから収納しています。この作業には、以前紹介した芽切り鋏のような、小さく扱いやすいハサミが便利です。
足に触れた手袋や道具の汚れを、肉や切り口へ移さないようにし、切り落とした足も別の袋にまとめて持ち帰ります。
獲物は1羽ずつ、大きさに合った袋へ入れます。小鳥には小さな袋、カモやキジには余裕を持って入る袋を用意しておくと、収納しやすくなります。肉や切り口に触れるものには、食品用の袋を使いましょう。
個別に分けておけば、血液や泥がほかの鳥へ広がりにくくなり、帰宅後も1羽ずつ取り出して作業できます。
ただし、袋に入れたことだけで持ち帰りの準備が完了するわけではありません。温かい鳥を袋に入れたまま放置せず、速やかに氷や保冷剤へ当ててください。
芽切り鋏や、鳥の大きさに合わせた収納袋など、実際に使っている道具はこちらのnoteで紹介しています。
新聞紙で血を吸わせ、帰宅後の作業をしやすくする
新聞紙は、血液や泥が周囲へ広がるのを抑えるために役立ちます。
例えば、頭部などから出た血が羽毛へ広く回ると、帰宅して羽を抜いたり解体したりするときにも、手や道具が汚れやすくなります。
そこで、頭部を中心に新聞紙で包み、血を吸わせておきます。これは羽毛をきれいに保つためだけでなく、後の処理で汚れを広げず、作業をしやすくするためのひと手間でもあります。
ただし、新聞紙には断熱性があります。胴体まで何重にも巻くと、冷却を妨げてしまいます。
冷却能力が不足しているときは、新聞紙を巻かず、冷却を優先してください。すでに巻いている場合も、冷却を妨げる部分は外します。
使う場合は頭部など必要な範囲にとどめ、氷や保冷剤を当てたい胴体を厚く包まないようにします。肉や切り口へ新聞紙を直接当てることも避けましょう。
汚れ対策と冷却の両方を考えつつ、両立できない場合は冷却を優先する。この使い分けが大切です。
手袋・道具・クーラーボックスも、清潔に保つ
獲物を扱うときは使い捨て手袋を用意し、作業後は手を洗います。羽毛や泥に触れた手袋のまま、飲食物や清潔な道具を触らないようにしましょう。
野鳥を扱った後の手洗いと、使用した器具の洗浄・消毒は、公的な衛生情報でも重視されています。
袋に入れていても、外側に汚れが付いていたり、小さな穴から血液が漏れたりすることがあります。帰宅後はクーラーボックス、保冷剤、ハサミなども確認し、洗浄して乾かしてください。
持ち帰った鳥は、車内や玄関へ置いたままにせず、速やかに衛生的な処理と冷蔵へ移します。
狩猟鳥の衛生案内では、肉を速やかに2〜4℃程度まで冷却することが示されています。クーラーボックス内の温度と、鳥の内部の温度が同じとは限らない点にも注意しましょう。
また、冷却は菌の増殖を抑えるためのもので、殺菌ではありません。食べる際は中心部まで十分に加熱し、生肉に触れた器具からほかの食品へ汚れを移さないようにします。
持ち帰るための準備も、猟の道具に含めておく
出猟前には、回収道具と一緒に次のものを用意しておくと、獲れた後に慌てずに済みます。
| 用意するもの | 主な役割 |
|---|---|
| クーラーボックス | 冷却した状態を保つ |
| 氷・保冷剤・凍らせたボトル | 獲物そのものを冷やす |
| 大きさの異なる食品用袋 | 1羽ずつ分け、汚れの広がりを抑える |
| 新聞紙 | 冷却を妨げない範囲で、頭部などの汚れを包む |
| 使い捨て手袋・手洗い用の水など | 作業中と作業後の衛生管理 |
| ハサミ・ナイフ | 必要な処理を行う |
| 回収用の別袋 | 足や羽毛、使用済みの紙などを持ち帰る |
獲った後のひと手間が、食材として持ち帰ることにつながる
鳥を仕留めた後は、次の獲物を探す前に、今獲った1羽をきちんと冷やすことを考えましょう。
羽毛に包まれた鳥は、クーラーボックスに入れるだけでは十分に冷えないことがあります。氷や保冷剤をきちんと当て、獲物が増えたら冷却材も追加する。袋や新聞紙は、冷却を妨げないように使う。
せっかく得た猟果を、おいしく食べられる状態で持ち帰るために。撃つ前の準備だけでなく、獲った後の扱いまで、自分の猟の流れに組み込んでおきたいところです。