エアライフル選び・構造

エアライフルのチューニング/セッティングってなに?

調整式PCPの仕組みと、銃・弾の相性を考える

セッティングとは、銃に備わる調整機能を使い、使用する弾や用途に合わせて作動状態を整えることです。

調整式PCPでは、レギュレーター圧やハンマースプリングなどがその対象になります。ただし、希望する弾速が出れば、それだけで適切な状態になったとは限りません。機械として安定して動くことと、実際に良好な集弾が得られること。その両方を考える必要があります。

チューニングとセッティングはどう違う?

二つの言葉に、統一された厳密な境界はありません。

この記事では、銃に備わる調整機能を使うことを「セッティング」、それを含む、より広い性能調整を「チューニング」と呼びます。チューニングには、作業内容によって部品の変更や機械加工まで含まれることがあります。

国内では重ねて使われることもあるため、依頼する際には、名称よりも「何を目的に、どこまで作業するのか」を確認するとよいでしょう。

なぜ調整式PCPでセッティングが重要なのか

調整式PCPには、使うペレットやエアスラグに応じた設定を持たせられるという特徴があります。選択肢が広い一方、購入した状態が、自分の使いたい弾や用途に合っているとは限りません。

もちろん、未調整で販売されているわけではありません。例えばFX Impact M4の公式説明書には、JSBペレットを使って工場で調整・試験していると記されています。出荷時の設定にも、前提となる弾や条件があります。

高価で調整機能が豊富な銃でも、どんな弾でも最初からよく当たる、というわけではありません。 調整できる幅と、自分の使い方に合った状態かどうかは、分けて考える必要があります。

FX Impact M4の公式説明書

レギュレーターとハンマースプリングの関係

では、その調整機能は何に関わっているのでしょうか。

主にPCPのセッティングを語る場合に中心となるのは、レギュレーター圧とハンマースプリングテンションの関係です。

レギュレーターは、タンク内の高圧空気を、発射に使う所定の圧力に整えます。ハンマースプリングは、空気を放出するバルブを開くためのハンマーを動かします。

ここで重要なのは、空気圧は弾を押すだけでなく、バルブを閉じる側にも働くことです。

一般的なハンマー式PCPでは、ハンマーがバルブを叩いて開き、空気が放出されます。その後、空気圧や戻しばねの働きによってバルブが閉じます。Daystateの機構解説でも、この開閉の仕組みが説明されています。

つまり、レギュレーター圧とハンマーの働きは、同じバルブの動作に関わっています。バルブの開閉によって、一発ごとの空気の放出のされ方が決まるため、両者を一組の作動条件として考える必要があります。

両者の「バランス」とは、瞬間的な開閉が安定して繰り返される関係を指します。

この2つの関係には、弾速や精度が安定する、「最適なバランス」があります。具体的には、その銃がそのレギュレーター圧で捻出可能な最大弾速の95〜97%に出力を落とし込む作業が基本となりますが、これは銃の構造などにより、必ずしも当てはまるものではありません。

Daystateの機構解説

機械として安定していることと、よく当たること

私は、こうした作動状態を整えることを「機械的セッティング」、銃と弾の組み合わせで実際の集弾を考えることを「精度的セッティング」と分けています。

同じ弾速が出ていても、内部の作動状態まで同じとは限りません。また、弾速が揃っていることだけで、標的でもよくまとまるとは判断できません。

反対に、一度よい集弾が出たからといって、その結果を安定して再現できる状態だと確認できたことにもなりません。

測定結果の読み取りにも注意が必要です。例えば、計測した最高弾速は、その条件で得られた最大値であり、それだけで銃の仕組み上の限界まで確認できたとはいえません。

セッティングに経験が必要なのは、数字を測ることと、その数字が出た理由を理解することが別だからです。

「この弾速でしか当たらない」と決めつけない

「このペレットは、この弾速が一番よい」という情報を見かけます。

ただし、「その銃では、その弾速でよい結果が出た」ことと、「その弾には、その弾速しか適さない」ことは別です。

私の実射経験では、ペレットが良好な精度を示す弾速には、一般に思われているより幅があると感じています。一方、現実には、狭い弾速域でしかまとまらない銃もあります。

この違いを、すべて弾の性質として片づけることはできません。標的に現れるのは、銃の作動や各部の状態、銃身と弾の組み合わせを含めた結果だからです。エアスラグでも、回転による姿勢の安定や、弾の形状・長さ・重量が関わるため、弾速だけで相性を説明することはできません。

私は、こうした銃側の条件にも目を向け、期待する性能と現状との隔たりを小さくすることも、チューニングの役割だと考えています。

他の人の数値は参考になりますが、唯一の正解とは限りません。結果が得られた条件まで含めて理解することが大切です。

すべてのPCPに同じ考え方が通用するわけではない

ここまでの機構の説明は、一般的なハンマー式PCPを前提にしています。

一方、レギュレーター圧がバルブに及ぼす影響を抑えた、バランスバルブという機構を採用したモデルもあります。構造が異なれば、従来の銃で使われてきた調整の考え方が、そのまま当てはまるとは限りません。

調整機能が付いていても、すべて自分で扱う必要はありません。購入時には、どの弾を前提にした状態で納品されるのか、作動や精度に疑問があるときは誰に相談できるのかまで確認しておきましょう。

筆者のエアライフルに関するコラムは、38TUNESのnoteにも掲載しています。

調整式エアライフルのセッティング方法