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エアライフルのポリゴナルバレルとは?
通常ライフリングとの違い・スラッグとの相性
エアライフルのポリゴナルバレルとは何かを初心者向けに解説します。通常ライフリングとの違い、弾速、スラッグ径、汚れ方、Lothar WaltherやAlfa Precision、CZバレルまで整理します。
ポリゴナルバレルとは?
高出力PCPエアライフルやエアスラッグの話をしていると、「ポリゴナルバレル」という言葉を目にすることがあります。
代表的なのがLothar Walther(ローター・ワルサー/LW)のポリゴナルバレルです。
一般的なライフルドバレルには、はっきりとしたランド(山)とグルーブ(溝)があります。一方、ポリゴナルライフリングは断面が多角形に近く、通常ライフリングより凹凸が滑らかです。
弾へ鋭いランドを強く食い込ませるというより、バレル内面全体で弾を緩やかに保持しながら回転を与えるような形状です。
ポリゴナルは弾の抵抗が少ない
ポリゴナルバレルで分かりやすい特徴のひとつが、弾の通過抵抗が比較的小さいことです。
通常ライフリングとポリゴナルを比較した実射データでは、ポリゴナル側の初速が平均で約3m/s高く、使用した弾によって約1〜7m/sの差が出た例があります。
約3m/sなら、およそ10fpsです。
もちろん「ポリゴナルに替えれば必ず10fps上がる」という意味ではありません。ボア径、表面状態、弾との相性、個体差なども関係します。
38TUNESで見ている範囲でも、同程度の条件なら通常の多条ライフリングより、ポリゴナルの方が少し弾速が出やすい傾向を感じます。
抵抗が少ないのに、空気は漏れないの?
弾への抵抗が少ないなら、「スラッグとバレルの隙間から空気が抜けるのでは?」という疑問も出てきます。
しかし、抵抗が小さいことと、気密性が低いことは同じではありません。
ポリゴナルは深いグルーブが少ない代わりに、比較的広い面で弾体を保持します。弾径がバレルに合っていれば、強く食い込ませなくても十分にシールできます。
逆に言えば、弾が細すぎる場合は相性がはっきり出ることがあります。ポリゴナルではスラッグ径の違いが結果に出やすい、と感じる理由のひとつです。
5.5mmなら.218? 実際は重量や長さでも変わる
5.5mmのポリゴナルバレルでは、.217より.218のスラッグを好む個体が少なくありません。
特に比較的軽量から中量級のスラッグでは、少し太い.218の方がまとまりやすいことがあります。
ただし、「ポリゴナル=.218」と決めてしまうのも違います。
30grクラスになるとH&Nの.217でも問題なく高い精度が出ることがありますし、27grの.217スラッグがZAN 25.5grの.218と同等以上の精度を出した組み合わせもあります。
つまり、相性を決めるのは直径だけではありません。
- 弾重量
- 弾の長さ
- バレルへ接触する部分の長さ
- 鉛の硬さ
- 初速
比較的短いスラッグでは少し太めの径が合いやすくても、長く接触面積の大きいスラッグなら、.217でも十分にシールして安定することがあります。
わずか0.001インチの違いですが、スラッグではその小さな差もセッティングのひとつです。
ポリゴナルはスラッグのために生まれたわけではない
現在ポリゴナルバレルが目立つようになった背景には、エアスラッグの普及があります。
ただし、ポリゴナル=最近登場したスラッグ用バレル、ではありません。
少なくとも現在の小口径スラッグブームが本格化する前から、高出力・大口径・長距離用途でポリゴナルは使われていました。
DaystateはAccuracy Research Team(ART)で高出力PCPの長距離精度を研究し、.25の高出力モデル向けにポリゴナルプロファイルを採用しています。
2019年に登場したRed Wolf Safariでは、ARTのポリゴナルボアを採用し、.30で最大80ft-lbという仕様まで展開していました。
大口径・高出力の世界で先にメリットが注目され、その後5.5mmや6.35mmのスラッグ人気とともに、ポリゴナルという言葉を目にする機会が増えた、と見ると分かりやすいでしょう。
でも、ペレットにも普通に使える
ポリゴナルはスラッグ専用ではありません。
分かりやすい例がMoriniです。
10m競技用エアピストルCM162EIには、Lothar Waltherと共同開発した4.5mmのポリゴナルバレルが使われています。
平均弾速は約150m/sで、完全に競技用ディアボロペレットの世界です。
つまりポリゴナルは、高出力スラッグにも使えるし、10mのマッチペレットにも使える。「スラッグ用」というより、ライフリング形状のひとつです。
汚れにくく、掃除しやすいのは大きなメリット
個人的にポリゴナルバレルの大きなメリットだと思っているのが、汚れ方の少なさと清掃のしやすさです。
通常ライフリングのような深い溝や鋭い角が少ないため、鉛やワックスが入り込む場所も少なくなります。
Moriniもポリゴナルバレルについて、通常のバレルより清掃しやすいことをメリットとして挙げています。
実際にクリーニングすると、この違いはかなり分かりやすく感じます。
ただし、汚れを溜めると急に悪くなる印象もある
一方で、ポリゴナルには少し面白い性格があります。
38TUNESとして見ている範囲では、普段はあまり汚れを感じないのに、一定以上汚れると急にグルーピングが崩れるように感じるケースがあります。
DaystateのART資料には、1000発クリーニングしなかったポリゴナルバレルの写真が掲載されています。銃口付近には実際に鉛が堆積しています。
ですから、ポリゴナル=汚れない、ではありません。
「汚れにくく、清掃しやすい。しかし汚れを溜めすぎない方がいい」くらいに考えるのが実用的です。
なぜ一定量を超えたところで急に精度へ影響するように感じるのかは、まだもう少しデータを見たいところです。
Lothar Waltherのポリゴナル
エアライフル用ポリゴナルで最もよく名前を見るメーカーのひとつが、Lothar Walther(LW)です。
現在のラインナップには4.5mm、5.5mm、6.35mmのポリゴナルがあり、5.5mmには1:16と1:17.7、6.35mmにも1:16と1:17.7など複数のツイストがあります。
さらに、チョーク付きポリゴナルも販売されています。
ここでも、ポリゴナル=ノンチョーク、ポリゴナル=スラッグ用、という単純な分類にはなりません。
Alfa Precisionという選択肢もある
ポリゴナルバレルはLothar Waltherだけではありません。
Alfa Precision(アルファ・プレシジョン)も、エアガン用として通常ライフリングとポリゴナルの両方を製造しています。
同社は5.5mm・600mm・1:16相当のポリゴナルバレルで、JSB 1.645gを使用した50mの実射例も公開しています。
PCPの世界では以前から知られているメーカーで、ポリゴナルバレルのもうひとつの代表的な選択肢です。
最近のCZバレルも面白い
CZは今回の話では、ポリゴナルとは別方向から高精度を狙うバレルとして見ておきたい存在です。
現在もAirMaks ArmsのKatranシリーズなどでCZ製バレルが採用されています。
ポリゴナルが注目されているからといって、通常ライフリングが旧式になったわけではありません。
むしろボアの均一性や表面仕上げなど、バレルそのものの加工品質が高ければ、従来型のライフリングでも非常に高い精度を出せます。
最近のCZバレルは、この意味でもかなり気になる存在です。
結局、ポリゴナルの方が優秀なのか?
ここまで読むと、「ポリゴナルの方が普通のライフリングより優秀なの?」と思うかもしれません。
そこまで単純ではありません。
ポリゴナルには、弾の抵抗が比較的小さい、弾速を出しやすい、スラッグ径を合わせると高精度を出しやすい、汚れが溜まりにくく清掃しやすい、といったメリットがあります。
一方で、スラッグ径や重量との相性がはっきり出る、.217と.218でも結果が変わる、汚れが溜まったとき急に精度が変化することがある、通常ライフリングの方が合う弾もある、という面があります。
Lothar Walther自身が現在も通常ライフリングとポリゴナルの両方を作り続けていることからも、どちらかが完全な上位互換という話ではないことが分かります。
バレルはひとつのスペックだけでは決まらない
結局重要なのは、通常ライフリングかポリゴナルか、だけではありません。
ツイストレート、チョーク、ボア径、スラッグ径、弾重量、弾の長さ、初速、出力。それらが組み合わさって、初めてそのバレルの性格が決まります。
「ポリゴナルだから当たる」のではなく、そのバレルに合った弾とセッティングを見つけたときに、ポリゴナルの特徴が生きてくる。
そう考えるのが一番分かりやすいと思います。