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空気銃の流し猟|基本の流れと、道・車の注意点

農道・堤防・車のルールを知り、地域に配慮して楽しむ

車で田畑や水辺を巡り、カモやキジなどを探す「流し猟」。空気銃を使った狩猟では、身近な猟のスタイルのひとつです。

ただし、獲物が見つかることと、そこで狩猟ができることは別です。道の通り方や車の止め方、農作業や地域の人への配慮まで含めて考える必要があります。

この記事では、流し猟の基本的な流れと、道・車に関わるルールを整理します。法令に明記されたルールと、行政資料などに掲載された個別事例は分けて紹介しています。個別事例での判断や実施条件が、別の地域・状況にもそのまま当てはまるとは限りません。

最初に押さえる、場所と時間のルール

流し猟でも、銃の所持許可、使用する猟具に対応した狩猟免許、出猟する都道府県での狩猟者登録が前提です。狩猟できる鳥獣、猟期、捕獲数の制限、鳥獣保護区や銃猟禁止区域なども押さえておきましょう。

ハンターマップで規制区域になっていなくても、自由に撃てるわけではありません。空気銃も、次のような場所・方向・時間の制限を受けます。

  • 公道での狩猟は禁止。公道の法面も含まれます。
  • 住居が集合している地域や、広場・駅など多数の人が集まる場所では銃猟ができません。
  • 弾丸が届くおそれのある人、飼養・保管されている動物、建物、車などに向かっての銃猟は禁止されています。
  • 日の出前と日の入り後は銃猟ができません。

作物のある土地や、柵で囲まれた土地

鳥獣保護管理法第17条では、垣・柵などで囲まれた土地や作物のある土地で狩猟をする場合、あらかじめ土地の占有者の承諾を得る必要があります。

耕作中の畑や柵の中へ、獲物を見つけたからと無断で入って狩猟してよいわけではありません。「作物や柵があれば一律に禁止」ということではなく、事前の承諾が必要な場所として区別します。

日の出・日の入りは、その地域の時刻で考える

基準となるのは、その日、その地域の暦上の日の出・日の入り時刻です。千葉県の案内も、銃猟の時間規制は暦による時刻を用いると説明しています。

山に太陽が隠れた時刻や、「まだ明るいから」という感覚で決めるものではありません。国立天文台の「こよみの計算」では、地点と日付を指定して調べられます。

時間内であっても、暗くて鳥の判別や周囲の安全確認ができない状況なら、そこで終わりにしましょう。

狩猟制度の概要|環境省 鳥獣保護管理法|e-Gov法令検索 千葉県における狩猟について|千葉県 こよみの計算|国立天文台

流し猟の基本的な流れ

流し猟は、車で猟場を回り、条件の整った場所で狩猟する方法です。車で移動することと、銃を使う場面を分けて考えると整理しやすくなります。

  • 出発前に、ハンターマップや地域の規制を見て、回る範囲を考える。
  • 通行できる道を使い、走行中は運転を優先する。鳥を探すことに気を取られない。
  • 確認したい場所では、交通や農作業を妨げない場所に安全に車を止める。
  • 双眼鏡などで鳥を判別し、人や建物、矢先とその先、獲物を回収できるかまで見る。
  • 場所・時間・安全の条件がそろわなければ、獲物がいても見送る。

車での移動時は脱包し、銃をケースなどで覆って運びます。獲物が見えたときにすぐ撃てるよう、装填したまま移動するものではありません。

まず周囲を見て、その場所で何ができるかを判断する。銃を出すのは、その後です。

狩猟における安全確保、法令遵守の徹底について|栃木県 狩猟用エアライフルの運搬・管理 ハンターマップの見方

農道・作業道・堤防・林道は走ってよい?

猟場で使う道には、一般の車が通れるものと、農作業や管理のために使われるものがあります。「農道だから通れない」「道があるから誰でも走れる」と、名前や見た目だけで一律に決まるわけではありません。

道の種類通行を考えるときのポイント
大きな農道一般の交通にも使われる道があります。農作業車の通行や、田畑への出入りを妨げないことが大切です。
田んぼの間の農作業道私道や作業専用の道もあります。通行制限に加え、道幅や路肩、地面の状態にも注意します。
堤防上の道・河川管理用通路生活道路として開放されている区間も、管理車両などに利用が限られる区間もあります。
林道一般の人が利用できる道もありますが、作業や災害による通行止め、車両制限などがあります。

農林水産省は、農道を一般交通に供するかどうかは管理者の判断によると説明しています。千葉県も、林道には林業のための道としての役割と、地域の生活道路としての役割があるとしています。

河川管理用通路についても、国土交通省の櫛田川の維持管理計画には、生活用道路として開放されている箇所があると記されています。作業道や管理用通路という名称だけで、通行が一律に禁止されるわけではありません。

ただし、ゲートが開いていることだけで一般車に開放されているとは判断できません。現地の標識や通行制限に従い、所有者や管理者から指摘された場合も、速やかに指示に従いましょう。

通れるかどうかをその場で言い争うより、迷惑をかけずに引き返す。トラブルを起こさないことも、狩猟のうちです。

農道の整備に関すること|農林水産省 ちばの林道|千葉県 櫛田川河川維持管理計画|国土交通省 三重河川国道事務所

公道と、その法面では狩猟できない

公道での狩猟は、鳥獣保護管理法令により禁止されています。ここでいう公道を、舗装された国道や県道だけと考えないことが大切です。

栃木県は、公道について、私人が私使用の目的で設けた道路以外で、一般公衆の使用に供されているものと説明し、農道・林道・サイクリングロードなども含めています。

一般の人の往来に使われている道は、公道として扱われることを基本に考えましょう。舗装されていないことや、その瞬間に誰も通っていないことは、公道ではないという理由にはなりません。

道路の法面と、堤防の斜面

岡山県は、狩猟の禁止場所を「公道(農道、林道、及び公道法面を含む)」と明記しています。法面とは、道路の盛土や切土に伴う斜面のことです。道路面から一段下りただけで、狩猟できる場所になるわけではありません。

同県は、弾丸が公道上を通過する場合も禁止と案内しています。道の向こうに獲物がいても、公道を横切る射撃はできません。

河川の堤防上の道についても、鳥取県は公道の例に挙げています。一方、堤防の斜面全体が、必ず道路の法面になるとは限りません。道路と堤防が重なる場所でも、その範囲は個別の構造や管理状況によります。

道路の法面なら狩猟は禁止です。ただし「堤防の斜面だから全部禁止」「舗装の外へ出れば大丈夫」といった、一律の線引きもできません。

道路交通法にも、物の発射に関する禁止がある

道路交通法第76条第4項第4号は、道路上の人や車両などを損傷するおそれのある物を投げたり、発射したりすることを禁止しています。

この条文の適用には、道路上の人や車両などを損傷するおそれがあるかどうかが関わります。警察庁の2025年8月22日付通知も、緊急銃猟に関する説明の中で、そのおそれがない発射は同規定に抵触しないとしています。

ただし、公道での通常の狩猟は、鳥獣保護管理法令によって禁止されています。道路交通法のこの規定に抵触しない場合でも、公道で狩猟できることにはなりません。

鳥獣保護管理法施行規則|e-Gov法令検索 狩猟における安全確保、法令遵守の徹底について|栃木県 狩猟の適正化について|岡山県 鳥取県で狩猟される方へ|鳥取県 道路交通法|e-Gov法令検索 鳥獣保護管理法の改正に伴う留意事項等について|警察庁

「運行中」とは? 車を止めれば撃ってよいのか

環境省の説明では、禁止されているのは「運行中の自動車」の上から銃器を使用する方法です。ここで使われている言葉は「走行中」ではありません。

問題になるのは、車が動いている場合だけでなく、一時的な停車や駐車をどこまで「運行中」に含めるかです。ただし、本稿で確認した公的資料には、運行が終了する条件を一律に示した説明はありませんでした。

参考となるのが、車両を使った捕獲事業「モバイルカリング」です。林野庁が公開した伊那地域の報告書(本文90ページ)には、運行中の銃猟禁止に対応して、エンジンと車両を完全に停止させてから発砲したと記されています。あわせて、一般通行の制限、警察との調整、公道での捕獲に関する許可手続も行われています。

これは、その事業の条件下で実施された一例です。「エンジンを切れば運行中ではなくなる」という全国共通の判断基準や、一般の狩猟で車内から発砲してよいという根拠にはできません。

私自身は、車内からの発砲を勧めません。車体や窓枠によって視界が遮られ、周囲の安全を十分に把握しにくくなるからです。獲物が見えていることと、安全に撃てることは別だと考えています。

狩猟制度の概要|環境省 平成26年度報告書・第3章 伊那地域|林野庁

農作業道を傷めず、農家の仕事を妨げない

流し猟では、田んぼの間の農作業道を通る機会が多くなります。こうした道には私道もあり、農家が仕事のために使い、維持している場所です。

田畑への出入口や農機の通り道をふさいで駐車しない。農作業をしている人がいれば、その仕事を優先する。近くで顔を合わせたら挨拶する。そうした基本的な配慮を忘れないようにしたいところです。

雨の後の柔らかい道では、深い轍を作ったり、路肩を崩したりすることがあります。狩猟車自身のスタックや脱輪にもつながるため、入る前に地面や道幅を見て、無理をしないことが大切です。

道を傷めたら、そのまま通り過ぎないこと。安全にできる範囲で修繕し、大きな損傷や自分で直せないものは、所有者や管理者が近くにいれば伝えて対応しましょう。

私は、こうした道を使う流し猟には、小型車や軽自動車が扱いやすいと考えています。大きく重い車より、小回りが利き、狭い道でも取り回しやすいからです。車選びでは走破性だけでなく、道に負担をかけないことも考えておきたいところです。

もちろん、小さい車ならどこへでも入ってよいわけではありません。通行できる場所を、傷めずに使うことが前提です。

狩猟車のスタック対策|ぬかるみ・脱輪からの脱出方法と車載装備

周囲への配慮が、猟場を守る

狩猟を知らない人にとって、近くで銃を持った人を見かけたり、鳥が撃たれる場面を目にしたりすることは、不安や驚きにつながります。法令を守っていても、通報や苦情、地域とのトラブルになることはあります。

だからこそ、人通りの多い場所や時間帯を避け、狩猟の場面を不用意に人目にさらさない配慮も大切です。獲物は安全を確かめたうえで速やかに回収し、目につく場所に置いたままにしない。農作業や散歩など、普段その場所を使っている人の立場にも目を向けましょう。

「違法ではない」と説明できることだけで、狩猟を続けられるわけではありません。相手の不安や不快感にも配慮し、トラブルになる前に場所を変えたり、その日は見送ったりする余裕を持ちたいところです。

私たちが今使える猟場には、先にその地域で狩猟をしてきた人たちが、農家や住民との関係を大切にしながら守ってきた場所があります。

その積み重ねを、一度の強引な行動で損なわないこと。事故を起こさず、迷惑を残さずに帰ることが、これからも狩猟を楽しめる場所を守ることにつながります。

ゴールは猟果ではなく、安全に楽しむこと

流し猟では、獲物がすぐそこにいても、撃てない場面があります。道の上にいる、人が近くにいる、矢先がよく見えない。そこで見送ることも、狩猟に必要な判断です。

猟果に目がくらんで危ないことをしたり、獲るためにルールを破ったりしても、それは上達したとはいえません。

ルールの中で、鳥を見つける力、地形を読む力、撃てる場面と見送る場面を判断する力を磨く。だからこそ自分の上達を確かめられますし、狩猟は楽しいのだと思います。

ゴールは猟果ではなく、自分が安全に楽しむこと。

獲物がなくても、事故を起こさず、地域に迷惑を残さずに帰ってこられたなら、それもよい一日です。その積み重ねを大切にしていきましょう。

初めてエアライフル猟に行く