エアライフルに弾速計は必要?
初速測定で分かることと、弾速計の選び方
PCPエアライフルで弾速計を使う意味を初心者向けに解説します。m/sとfps、ES・SD、弾道計算、銃の状態確認、光学式とレーダー式の違い、アプリ管理まで整理します。
弾速計は必須ではない。でも、使い込むほど重要になる
PCPエアライフルを始めると、「弾速計って必要なの?」という疑問が出てきます。
銃を撃つために絶対必要な道具ではありません。
ただし、弾道を正確に知りたい、弾の相性を比べたい、銃の状態を確認したい、PCPのセッティングを詰めたい、というところまで進むと、弾速計はかなり重要な道具になります。
特にPCPでは、弾速を継続して測ることで、単に「何fps出ているか」以上のことが分かります。
弾速計とは?
弾速計、英語ではChronograph(クロノグラフ)は、発射された弾の速度を測る機器です。
エアライフルでは主にm/sとfps(feet per second)で表示します。
1m/sは約3.28fpsなので、ざっくり言えばfpsの数字はm/sの約3.3倍です。
| m/s | fpsの目安 |
|---|---|
| 100m/s | 約328fps |
| 250m/s | 約820fps |
| 300m/s | 約984fps |
海外のエアライフルではfps、日本ではm/sを見る機会も多いため、両方の感覚を持っておくと便利です。
fpsの方が細かく見える。でも気にしすぎない
同じ速度変化でも、fpsの方が数字は大きく動きます。
1m/sの差が約3.3fpsになるため、885fps、887fps、889fpsのように細かな違いが見えやすくなります。
PCPのセッティングを詰めるときには便利ですが、細かい数字が表示されることと、その差に意味があることは別です。
弾速計そのものの測定誤差、ペレットの個体差、気温や銃の状態などによって、数fps程度の違いは普通に出ます。
1発だけを見て「2fps落ちた」「昨日より3fps速い」と気にしすぎても、あまり意味はありません。
見るべきなのは、平均初速、ES、SD、そしてショットストリング全体の傾向です。
弾速計は数字を細かく見るための道具ですが、数字に振り回されないことも大切です。
カタログ値ではなく、自分の銃の初速を知る
メーカーのカタログには「最大○○fps」といった数字が書かれていることがあります。
しかし実際の初速は、使用する弾、弾重量、銃の個体差、レギュレーター設定、ハンマースプリング、タンク圧、気温などによって変化します。
弾道計算をするなら、カタログ値よりも自分の銃で実際に使用する弾を測った初速を使う方が実用的です。
弾道計算では初速が重要
弾道計算では、BC、初速、サイトハイト、ゼロ距離などを使って着弾位置を計算します。
初速が実際と違えば、距離が伸びるほど計算結果とのズレも出てきます。
38TUNESの弾道計算Webアプリ「サンバリ」を使う場合も、弾速計で測った実測初速を入力することで、より実際に近い弾道を確認できます。
1発ではなく、何発か測る
弾速計を使うときは、1発だけ測って終わりにしない方が役に立ちます。
10発程度測れば、平均初速、最高速度、最低速度、ES、SDなどを見ることができます。
ES(Extreme Spread)は最高初速と最低初速との差です。最高890fps、最低880fpsならES=10fpsです。
SD(Standard Deviation)は、各ショットが平均値からどの程度ばらついているかを見る数字です。
どちらも弾速の安定性を見る材料になります。
ただし、ESやSDが小さければ必ず集弾が良い、というものではありません。バレルと弾の相性、風、射手など、精度にはほかの要素も関係します。
PCPでは銃の状態を見る道具にもなる
弾速計は、銃の状態を確認する道具としても便利です。
たとえば普段880〜890fps程度で安定していた銃が、突然850fps前後しか出なくなった。
こうなれば、タンク圧、レギュレーター、ハンマースプリング、バルブ、トランスファーポート、Oリング、使用している弾などを確認する材料になります。
「なんとなく調子が悪い」だけでは原因を絞りにくくても、弾速にも変化が出ていると分かれば、判断材料がひとつ増えます。
レギュレーターの状態を見る材料にもなる
レギュレーター付きPCPでは、連続して弾速を測ることで動作状態をある程度確認できます。
たとえば、タンク圧が下がるにつれて初速が変化する、数発ごとに大きく上下する、しばらく置いた後の1発目だけ速度が違う、といった傾向です。
弾速だけで故障箇所まで断定することはできません。
しかし記録が残っていれば、感覚だけで判断するより状況を把握しやすくなります。
PCPのセッティングを取るなら重要
レギュレーター圧やハンマースプリングなどを調整するときは、弾速計の重要度が一気に上がります。
調整前後で、初速がどう変わったか、ばらつきがどう変わったか、タンク圧に対してどう変化したかを数字で比較できます。
PCPのセッティングでは、変更する、測る、記録する、比較する、を繰り返します。
この用途では弾速計はほぼ必須と言っていいでしょう。
弾を変えたときの比較にも使える
同じ銃でも、ペレットやスラッグを変えると初速は変わります。
重量だけではなく、弾の径や形状、バレルとの抵抗でも変化します。
弾速を測っておけば、弾を変えたことで速度がどう変わったか、エネルギーがどう変わったか、ばらつきがどう変わったかを比較できます。
弾重量と初速が分かれば、発射エネルギーも計算できます。
単位換算やエネルギー計算には38Q
海外製品ではgr・fps・ft-lb、国内ではg・m/s・Jのように単位が混在します。
こうした単位換算や弾エネルギー計算は、38TUNESで作ったWebアプリ38Q(Quick Shooting Converter)でも行えます。
大型の光学式
昔からある代表的な方式です。
弾が前後2か所のセンサーを通過する時間差から速度を計算します。
細長い本体に4本の棒が立ち、その上にディフューザーなどを取り付けるタイプを見たことがある人も多いでしょう。
この方式では、前後の測定点の間隔を広く取れるほど、同じ時間計測誤差が速度計算へ与える影響を小さくしやすくなります。
また測定範囲も大きく取れるため、正しく設置すれば安定して弾を拾いやすいのも特徴です。
欠点は、設置に手間が掛かる、光の状態に影響される、センサーの上を正しく通す必要がある、撃って壊す可能性があることです。
銃口へ取り付ける小型光学式
エアライフルでは、銃口付近へ取り付けるコンパクトな光学式クロノグラフもよく使われます。
持ち運びしやすく、設置が簡単なのが大きなメリットです。
一方で大型の光学式と比べると、前後の検出点の間隔を長く取れません。
測定原理上は、2点間の距離を長く取れる大型タイプの方が精度を出しやすく、小型タイプはやや不利になります。
ただし、実際の性能はセンサーや電子回路、光源などにも左右されます。
そのため、値段が高い=必ず正確、安い=精度が低い、とは限りません。弾速計は価格だけで性能を判断しにくい機器です。
レーダー式
最近増えているのがレーダー式です。
弾をセンサーの上へ通す必要がなく、銃口付近や射手の横へ置いて測定できます。
設置が非常に簡単で、射撃姿勢をほとんど変えずにショットストリングを取れるのが大きなメリットです。
一方で、射撃場では注意する点もあります。
レーダー式は、条件によっては隣の射座から発射された弾を拾ってしまうことがあります。
混雑した射撃場では、今記録された一発が本当に自分の射撃なのかを確認する必要があります。
国内でレーダー式を使う場合は電波法も確認
レーダー式は電波を使って測定します。
そのため海外製品を日本へ持ち込んだからといって、必ずそのまま国内で使用できるとは限りません。
日本国内で使用する場合は、その製品が国内の電波法上どのように扱われるか、必要な技術基準適合証明などを含め、国内で使用できる仕様かを購入前に確認した方がよいでしょう。
特に海外通販や個人輸入で購入する場合は、海外で普通に売られている=日本でも問題なく使える、とは考えない方が安全です。
本体だけでなくアプリも重要
PCPのセッティングをしっかり取るなら、弾速計本体の測定性能だけでなく、データをどう管理できるかも重要です。
10発、20発と測定すると、平均初速、MAX、MIN、ES、SD、タンク圧、使用弾、セッティング内容など、比較したい数字が増えていきます。
スマートフォンと接続できる弾速計なら、ショットストリングを自動保存したり、グラフで確認したりできるものがあります。
こうなると、アプリが見やすいか、記録を残しやすいか、過去のデータと比較しやすいかも重要な性能です。
しっかりセッティングを取る人ほど、弾速計そのものだけでなく、付属アプリを含めて選んだ方が使いやすいと思います。
最初から買う必要はある?
PCPを始めるときには、銃、スコープ、マウント、充填機材、ケースなど、ほかにも必要なものがあります。
そのため、初心者が最初から弾速計まで必ず購入する必要はありません。
しかし、弾道計算を本格的に使う、弾を比較する、50m以上を狙う、PCPを調整する、銃の状態を自分で確認するようになれば、かなり優先順位の高い道具になります。
弾速計を買ったら基準値を作る
最初にやっておきたいのは、普段使っている弾で10発程度測ることです。
できれば、弾の種類、弾重量、平均初速、MAX / MIN、ES、SD、タンク圧を記録します。
同じ条件で定期的に測っていけば、「この銃は、この弾なら普段このくらい」という基準ができます。
この基準があるから、「以前より初速が落ちた」「ばらつきが増えた」「調整後に安定した」という変化を判断できます。
弾速計の大きな価値は、1回だけ初速を知ることではありません。
自分の銃の状態を数字として残し、過去と比較できること。PCPエアライフルを長く使っていくなら、そこが一番役に立つ部分だと思います。